獣医のキモチ第4回 牛と共に暮らす

獣医の本来の仕事に

人間の安全を守るということがあって

家畜の食糧や乳製品としての安全

動物の病気を人間に持ち込まないという意味での安全です

北海道では

酪農家が多いので

農業共済の獣医師がつなぎに長靴で車を走らせ、農家を往診します

実習で、雪の石狩平野めぐる石狩NOSAIの獣医さんが「先生」っていって酪農家から野菜とかもらっていて、カッコいいなあと思った、その時のことを書きました

牛と共に暮らす

獣医師を志して新聞記者を辞め、ほこりっぽい3月の横浜からフェリーで北海道に渡ったのは29歳の時だった。

札幌近郊の江別市はまだ雪深く、入学する市内の酪農学園大学では、構内にいる数百頭の牛の群れに目を見張った。

小さい時から「動物と話せるドリトル先生」が憧れだった。東京育ちの私にとって獣医師とは、猫に足を食いちぎられた文鳥、高齢でものを食べなくなった猫を診てくれた都会の動物病院の先生だった。

だが、北海道の大学で見たのは「かわいいから動物を飼う」のではない酪農家と、それを支える獣医師の姿だった。

酪農家は朝、デッキブラシを手に、自動車ほどもある大きな乳牛を牛舎から搾乳場に連れて行く。

牛舎ではふんを片付ける。のべつ食べている草食獣は、のべつふんをするから掃除はたいへんだ。昼間は牧草地に出て草を刈り、保存食糧を作る。

家畜の病気を診る獣医師は、食の安全を確保する役割を担っている。深夜、難産の牛のもとに駆け付け、凍える牛舎の中で母牛から子を引っ張り出す。産後、母牛の子宮が体外に押し出されてしまった時には、牛の下にはいつくばって子宮を体内に押し戻す。

酪農家も獣医師も、自分の時間と労力の多くを牛にささげていた。動物に対する愛と敬意とは、使った時間のことを指すのだと思った。

獣医師の仕事はきつく、給料は安い。勉強しても勉強しても思うところまで行けない。でも、まだ小学生の自分の子供に、この仕事に誇りを持っていると、いつか言ってやりたいと思う。

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