「獣医のキモチ」五回連載は
2015年2-3月、共同通信社のペットエッセー連載として、全国の新聞に連載されたエッセーです
「殺生をしない仏教国」は、タイ・バンコクでの出来事
夫の仕事で移り住んだバンコク
獣医師の私は
路上に住む犬を避妊去勢手術する
バンコクの保健所でボランティアしていました
殺生をしない仏教徒は
どんなふうに
野犬と暮らす方法を考えるのか
私は
へええええ
って思いました
お読みいただけたらうれしいです
「殺生をしない」仏教国
3年間住んだタイ・バンコクの風景には犬がいた。バス停ではバス待ちの人のサンダルに鼻先を蹴られそうになりながら犬が寝そべっている。犬が路上に暮らすのは、人にも犬にも当たり前らしかった。
路上の犬に避妊去勢手術を施すバンコクの保健所でボランティアをした。保健所の朝は騒々しい。近郊から大きな網ですくわれてきた犬たちが、耳がつぶれそうな声で鳴いている。毎日、扇風機の回る部屋のステンレス台の上や屋外で、1日数十匹が手術を受け、トラックでもといた場所に戻された。
ある日、手術の助手をしていると、タイ人の獣医師が雌犬のおなかを開けたとたん、手を止めた。「子宮に子供がいるから摘出できない。仏教徒だからね。ナモタサー」。殺生をしない仏教徒の獣医師は、手を合わせて経文を唱え、手術を宗教の異なるカンボジア系の獣医師に代わってもらっていた。
郊外には路上犬約500匹を集めた保護施設があり、妊娠した犬の世話もしていた。10匹の母犬は10匹ずつ子を産み、数週間後には100匹になる。保健所長のソンポップ先生は、「犬は10年以上生きるんです。面倒をみられない人は飼ってはいけない。飼いたいなら金魚にしなさい!」と強く言っていた。
「その点、街に犬がいない日本は素晴らしい」とタイの知人がほめてくれた。「ボランティアに引き取られないと、みんな殺処分だからね」というとショックを受けていた。「日本は進んだ国だから、動物はきちんと管理されていて、路上に犬はいないのだと思っていたよ」。そうならいいと、私も思った。
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